「メイトからキャストへと役割が変わりました」横岡さんのお話し

江別気球工場が開設して1年が経ちました。当時4ヶ月だった息子さんを保育所に預け、初めての子育てと新しい仕事にチャレンジの1年だったという横岡さんのお話を聞きました。

江別気球工場での変化

縫い物や手作業をすることが好きという横岡さん、「未経験者応募OK」「工場内でプラスチック気球のバルーン部分の製作をお願いします。特殊な機械でプラスチックフィルムを溶着する作業です。作業は4~5名程度のチームで行います」という募集要項を読んで、私にもできるかも?と思って岩谷技研に応募したとのこと。

一緒に働くメイトさんは先輩ママたちが多いので、子育ての話も聞いてもらえアドバイスをいただいたり、働き出したことによって、みなさんに出会えたことが子育てにおいても心強く感じられたのだそうです。

横岡さんは、江別気球工場が軌道に乗るまでの間、工場内の様々な業務を担っていた総務部・小川順子さんが札幌本社に戻るのをきっかけに、工場長から相談されて業務を引き継ぐことになり、「現在は、シフト作成や勤怠管理、備品などの発注や物品管理などが主な仕事内容です」と話してくれました。仕事内容が変わることへ少し戸惑いもあったようですが、「小川さんの代わりにやってみます」と答え、新しい仕事を覚えていきました。

横岡さんの仕事内容が変わっただけでなく、この一年の間に江別気球工場には大きな変化がありました。

札幌R&Dセンターが江別にやって来た

江別気球工場のメイトさん達にとって、昨年の夏頃は「時々、札幌R&Dセンターから開発の方が来て、技術的なことを教えてくれるんですよ」と言いながらも、R&Dがどんな場所で、どんな方たちが働き、どんな仕事や開発がされているのかも全くわからない、来てくれた方のお名前も把握できていない・・・という状況でしたが、2022年11月「札幌R&Dセンター」が「江別気球工場」に移転、「江別研究所」になりました。

開発部門と気球制作の場所が一緒になり「R&Dの皆さんが身近になったことは、とても良いこと」だと感じているのだそうです。

今までメイトさんだけで作業していた時は情報量が少なく、例えば作業指示が急遽変更になった場合も、開発部門ではどういうことがしたくて変えたのか?の理由を直接聞くことができませんでした。理由がわかれば、製作側からも「こうした方が、より効率が良く時短で作れる」などの提案ができ、お互いへの理解が深まります。

最初の頃の溶着の仕方だけわかっていた状態から、知識が増え技術も上達し、より「自分たちも開発に関わっている」といった気持ちを感じるようになりました。

実験も宇宙も身近に感じられる

溶着作業は重要なことなので最初から注意深く慎重に行なってきましたが、誰が気球に乗っているのかがわからなかった時よりも、知っている人が有人飛行実験を行なっているのだと思うと、さらに安全や成功への意識が高まったようです。

岩谷技研で仕事を始める前の横岡さんは、宇宙にはさほど興味があったわけではなく、宇宙旅行を目指す気球を製作するなんて、とても夢のある仕事だと思ったそうです。実際に働いてみると、気球宇宙遊覧はふんわりとした「夢」ではなく「技術」で実現できる、岩谷技研で働くみんなの力なのだと感じます。宇宙への興味もどんどん湧いてくるようになりました。

横岡さんは気球製作をする「メイト」から、工場内の管理の仕事が主となった「キャスト」という役割に立場が変わりましたが、今でも溶着作業を行う時があります。いつもはできないからこそ「久しぶりに一緒に作業をすると、みなさんの経験値がどんどん上がっているのがわかって、すごいんですよ」と教えてくれました。

一年前はほとんどのメイトさんが「初めてのことばかり、わからないことばかりですけど楽しいです」と話してくれていたのに、もうここにいるみなさんは気球作りのプロ集団なのだと感服しました。