高度2万mの世界

高度2万mの世界とはどんなものか。2024年7月、国内で初めて気球での高度2万m(20㎞)の世界を体感したパイロットにその時の感想を聞きました。

風を読むこと

三木 将貴(みき まさき)は、現在48歳。岩谷技研の有人気球パイロットの一人。
元々は陸上自衛隊に所属し、パラシュートにまつわる任務に携わっていたこともあり、特技は「風を読むこと」。
そうした経験は、現在のガス気球の操縦に大いに生かされているといいます。

岩谷技研との出会い

岩谷技研に興味を持ったのは、気球の飛行試験に成功したというニュースがきっかけでした。私たちが飛ぶ“高高度”での作業は、訓練と高い知識が必要です。最初は正直少し不安もありましたが、それと同時に、こんな夢のあるプロジェクトが成功すれば、日本の未来や子供たちに大きな影響を与えられるのではないかと思いました。そして、自分にも貢献できることがあるのではないかと考え、気球のパイロットを志望しました。

日の出の美しさ

この日のフライトは、前日の夕方から準備をして、夜明け前、日の出のおよそ1時間前に離陸。ゆっくりと気球は上昇していきました。

上昇している途中は、星空が本当に綺麗でした。日の出の時間になると、地平線から昇ってくる眩しい太陽を目の当たりにしました。高度1万5,000mを超えたくらいだったと思います。地球の丸い形がはっきりと見えましたね。
当日は雲が薄く出ていたため、太陽の光が雲にかなり反射していて、ものすごく眩しかったのを覚えています。
この瞬間は、山の頂上で見るご来光とは違い、太陽を上から見下ろすようなもので、実際に気球で高高度に上がっていないと感じられない体験でした。

飛行中に感じた静寂

“キャビン”にいる間は、無音の状態でした。地上と繋がっている無線の声だけが聞こえるくらいで、飛行機のようなエンジン音もなく、本当に静かです。これは気球ならではですね。
今回の飛行試験では、搭乗者は自分一人。不安はありませんでしたが、少し寂しさを感じました。
4~6時間というフライトの中で、一番上に行ったときには、『見て!すごいね!』と、誰かと言いあいたかったですね。
上空の世界を独り占めしているという意味ではとても贅沢ですが、やっぱり誰かと共感したい気持ちが大きかったです。

変わらない風景

気球でのフライトは、通常の飛行機とは異なり、風景が流れることはありません。気球は雲と同じスピードで動いているので、静寂の中で雲の景色が変わらずにそこにあり続けます。その中をゆっくりと上がっていき、うろこ雲や地面を見ながら進む体験は、まるでアニメの『天空の城ラピュタ』に出てくるような風景で、とても感動的でした。

視覚だけではない特別な体験

気球に乗ると、普段の生活では見ることのない景色を体験できます。
それは視覚だけでなく、肌で感じる特別な感覚です。
匂いや味までも感じられるような、不思議な体験ができると思います。
私も、これまで気球に乗って実験を重ねるうちに、自然の偉大さに気づかされるようになりました。
些細な悩みも忘れられるような、心が軽くなる感覚を味わえると思います。

体験を実現する

気球での飛行を通じて得られる特別な体験をより多くの人に提供できるよう、私たちは努力しています。
一緒に地球を見下ろし、自分が生きている場所を改めて感じてほしいと思います。

私たちは、2025年春以降にも、“世界初”となるお客様を乗せた「宇宙遊覧フライト」の実現を目指して準備をしているところです。
日本中に、そして世界に、この素晴らしいニュースを発信したい。今からそれが楽しみで仕方ありません。 

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