研究開発部 機器開発課 松本章さんにインタビュー

福島にあった岩谷技研の研究所から北海道へ移り住むことになった福島県出身の研究開発部 松本章さんにインタビューをさせて頂き、現在の心境などをお聞きしました。

福島県の研究所から北海道へ

出身が福島県の松本章さんは、大学を機に福島を出て栃木県で就職。その後転職で福島に戻ってきて、特装車というダンプカーやゴミ収集車といったいわゆる「働く車」関係の荷台などを専門に扱うメーカーで働いていました。電気系出身ということもあり、電気機器全般の設計に従事していたということです。

そうした技術を生かせる職場として岩谷技研へ。現在は気球の天頂弁を制御するための基盤設計などを担当されています。また、キャビンに乗せる基盤の設計や、どういう機器を乗せるかという部分も担っています。

「以前あった岩谷技研福島研究所でも、今と同じ仕事をしていました。福島研究所ができて数ヶ月経ったくらいの時期に入社し、今年6月末、福島研究所が江別研究所に統合されることになったのを機に、北海道に来ました。」

そう淡々と語る松本さんでしたが、職場が突然福島から北海道に移ることになった時は、正直、続けるかどうか?かなり悩んだそうです。それでも、せっかく岩谷技研に入って仕事も順調にこなしていけるようになっていたこともあり、北海道へ渡る決心をしたとのこと。

実際に北海道に移り住んでまず感じたのは「涼しくて過ごしやすい!」ということでしたが、「冬は怖いかな…。」と正直な気持ちを告白してくれました。

福島もけっこう雪が降るのでは?と尋ねると、福島県は大別すると3つの地方に分かれており、東側に阿武隈高地が南北に伸び、西側には奥羽山脈や越後山脈が広大な山地帯を形成しており、地域によって降雪量が大きく異なるのだそうです。そして、松本さんが住んでいた南相馬の“浜通り”と言われる海沿いの地域はまったく雪が積もらない!のだそうです。なんと子どもの頃から雪かきをした経験が、1回か2回しかない、というのですから驚きです。

それゆえ、これから迎える北海道の冬生活での雪かきは大いに不安な様子。我々インタビュアーが「大丈夫、すぐ慣れますよ!」と言うと、苦笑いを返す松本さんでした。

画面越しで行っていた作業を直接話し合えて作業効率、大幅アップ!

福島研究所で仕事をしていた頃は、北海道にいる社員の方々と画面越しに作業のやり取りを行っており、なかなか大変だったようです。

開発の橋本さんたちと、Webカメラ経由で現物を見せてもらいながらの共同作業。その作業を通して松本さんは、北海道にいる社員の皆さんの負担になっているのではと常々心配していたのだそう。でも今は同じ工場内ですぐに面と向かって話ができるので、その部分はスムーズになったとのこと。

「向こうにいた時は今話をする余裕があるか?タイミングが悪くないか?といった事が全くわからないので、やっぱり同じ工場にいると聞きやすいです。」としみじみ語っていました。

また、キャビンに実装する基盤を製作しているのだけれど、実物のキャビンがない状態だとなかなか実感が伴わなくて苦労したそうですが、こちらには気密キャビンの現物があります。それを確認しながら作業ができるのも、大変やりやすくなったということです。

「岩谷技研は色々と試しながら、毎日試作品を作ってるような気分。ゼロから作り上げていく過程は、他の企業にはない面白さがあります。」と、試行錯誤の毎日の中に楽しみを見出しているようです。

趣味・登山の話

普段の気晴らしや趣味についてお聞きすると、「登山が好きです」とのことでした。

「こちらに来てからまだ行けてないんですけど、せっかく北海道に来たので色々な山に登ってみたいなと思っています。とりあえず近場で羊蹄山があるので行ってみたいなと思ってはいるのですが、天気が悪かったり実験とぶつかったりで、日程が合わないんですよね。実は先週も行こうと思っていたのですが、土日とも雨で…。」

行く山も決まっている松本さんですが、なかなかタイミングが合わないようです。

キャンプがお好きなのですか?とお尋ねすると、「キャンプはやりません。山に登って1日で下ってくる、日帰り登山が多いですね。どっちかっていうと、のんびりした雰囲気の、人があまりいなくてボケーっとできるところが好きです。」とのこと。登山好きにもいろいろな嗜好があるのですね。

さらに山登りについて深く聞いていくと、衝撃の発言が!

「登るのは楽しいんですけど、登るたびに二度と山登りはしたくない、と思ってしまいます。」

それはどういう事ですか?と聞くと、「頂上まで登ったところで『これ降りるのか…』と思うと、途端にげんなりしてしまうんです。もちろん一所懸命に登った達成感はあるんですけど、下を見ると、これから帰らなきゃいけないっていう…。」

行くときはワクワク感でテンションが上がるけれど、帰るとなると気持ちが萎えてしまう、という感じでしょうか。「旅は出発前が一番楽しい」とも言いますからね。なんだか分かる気がします、と言うと松本さんも笑っていました。

今後に向けて

電子機器の設計が専門の松本さん、今後は設計の現場の整理をしていけたらと語ります。ベンチャー企業である岩谷技研には、大企業の設計室のように整ったマニュアルや設計図は用意されていません。すべてを手探りしながら、ゼロから作り上げていかねばなりません。

今後岩谷技研が大きくなっていくに連れ、まだまだ多くの開発者が入ってくるでしょう。大人数がワンチームとして効率的に開発を進めていけるよう、今から開発の現場の整理を始めておかなくてはと、力強く語る松本さん。

眼の前の仕事だけではなく、未来もしっかり見据えて開発に携わっている、そんな松本さんの広い視野に感銘を受けるのでした。