電子課 課長 山本一将さんインタビュー

開放弁の開閉を遠隔操作する装置の電気の部分を担当した、電子課 課長山本一将さんにお話を聞きました。

札幌で宇宙開発に携われるなんて

2021年12月に入社されたという山本さん。前職ではパソコンの電子機器を設計していました。その時に自社製で無線のマウスを作ったこともあるので、「今の仕事にその経験を活かすことができている」と感じています。

山本さんは、北海学園大学電子情報工学科を卒業後、ずっと札幌で働いていました。

安定したお仕事をされていたなかで、岩谷技研の求人を目にした時に「札幌で宇宙開発に携われる会社があるなんて!」と、宇宙の仕事は東京でしかできないと思っていたのに、自分も宇宙開発に関われるかもしれないと新しいチャレンジをしてみたいという気持ちになりました。

「学生時代も学科に関係なく天文学の講義を取って受けていたんですよ」というくらい宇宙が好きだという山本さん。お子さんの名前にも「星」の漢字が入っていて、ご自宅にも天体望遠鏡があるのだそうです。

まだ、岩谷技研に入社できるかわからないタイミングでしたが、岩谷社長の絵本「うちゅうはきみのすぐそばに」を購入し、「お父さんの働きたい会社の話だよ」とお子さんたちと一緒に読みました。小学2年と年長の二人のお子さんは「風船で宇宙に行けるわけない」と言ったそうですが、お父さんが岩谷技研で働き始めるようになった今は、ときたま「気球にはいつ乗れるの?」と聞いてくるのだとか。

山本さんは「子どもを気球に乗せる」ことを目標に仕事に励んでいるのだそうです。

開発・設計は自分の子どもを乗せている設定で行う

大好きな宇宙と関わり、お子さんの夢を叶えるために新しいものを作る仕事は、おもしろくて、毎日楽しいと感じられているのでは?と聞くと、

「仕事をおもしろいと思っているうちは、まだ追い込みが足りていないという以前の会社の上司の言葉を思い出すことがあります」と、今の仕事はおもしろいと感じていると同時にやりがいと大きな責任を感じていると話してくれました。

無線通信のノウハウの蓄積や経験のベースがあったから、今回の開発も取り組みやすいと思ったそうですが、生半可な考えではダメだと考えています。

この機械で行う開放弁の開閉の動作は、上空に浮かんでいる気球を満たしているヘリウムガスをゆっくりと外に逃がす役割を持ち、気球を地上に戻す働きをします。

開放弁を遠隔操作する中で、例えばパソコンの無線のマウスなら2〜3秒動かなくても、あれ、調子が悪いかな?程度で、さほど気にしないかもしれませんが、人の命を乗せている気球で、2〜3秒動かないことを「まぁいいや」で済ませるわけにはいきません。安全面で迷った時は、「これで子どもを乗せられるか?」と自問自答するのだそうです。

無線?回路?魔法だと思っていました

開発という仕事では、お手製で機械を作ってみて動くことを確認するという作業を、失敗がないように何度も行うのだそうです。

「まず回路図をお絵かきして、CADのソフトで書いたものを、自分たちでハンダづけしたものがこれです」と、機械や理数の知識がほぼない取材陣にもわかりやすいようにやさしい言葉を選んで説明してくれた山本さん。

無線のマウスもそうですが、テレビのリモコン、照明のリモコンなど無線で操作できる機械は色々あります。中身の仕組みのことまで考えたこともなく、当たり前のように便利に使っていましたが、よく考えると、身の回りには人間が頭で思い描いたものを作り上げて、実際に使っているものばかり!山本さんの説明を聞いて、魔法のように動く機械も全て人間が作ったものだった!と、改めて気がつき感動しました。

我々一般人から見たらどれも魔法にしか見えない一つ一つの技術が積み重なって、それが岩谷技研の気球、そして宇宙へ繋がっていくのですね。